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過去に作・演出、また舞台照明として参加した作品。

空間設計を図示し「提案」する立場と、技術を持つスタッフとして企画者の要望に応えつつ表現を盛り込み、「実現」していくふたつの立場で作品作りに携わってきた。

自主企画「思い出すたび振り返れ」の舞台素案。舞台プランに当たるスタッフがいなかったため、脚本製作時に必要な出ハケ口を記した大体の想定図を舞台班に提出した。



「平成31年東京の旅」の舞台照明の仕込み図。今年2月末に担当した照明プランを提示する際に作成・使用した。用途に応じた照明機材を図示し、照明班の他のスタッフも作業がしやすいようにするのが仕込み図の役割。

【照明プラン】2019.2/25~3/4

AグループからHグループまで、短編会話劇・全8作品のオムニバス公演。照明プランを担当。限られた劇場空間で全く雰囲気の異なる8種類の舞台の光を作る。


◎使用する灯体(光源)の数が多かったため、許容電力数や機材の扱い片を細かく想定し、光を作るうえで安全面にかなり気を使った。

◎会話劇のため、脚本の構造を理解し、照明が展開の切れ目を演出する役割を担っていたことに気を付けてプランを練った。

【主宰/作演出】20191/11~1/13@新宿at Theatre

とある壁の前でひたすら「待つ」高時給バイトをすることになった主人公・ナオミ。暇を持て余す彼女は、誰もいないのをいいことに、ひとり妄想上の存在・ちゅん(この場に来なかった弟の幻影)と時間をつぶす。二人は壁の向こうへ「一緒に帰る」ことを誓い合って、ここへ来ていた。そこへ突如現れた正体不明の男・ゴトウ。彼は壁の中に置き去りにされた、金品や思い出の品を外に持ち出す「運び屋」なのだった。

日本で再びオリンピックが行われる2XXX年。福島に次いで被爆してしまった都市を覆う「壁」の前で、非日常を待ちわびる少女のお話。

◎「壁」=自然界(放置され自然に飲まれた都市)と人間の生活区域の境目、つまり日常と非日常の境目 としてとらえた舞台構造を舞台スタッフに提案、検討した。

 ➡舞台には小さなベンチと背景に大きな金属の壁のみを配置。


【主宰/作演出】2018.5/25~5/27@アートスタジオ

自劇団の第二回公演。2018年5月に行った。2018年は明治維新150周年に当たる年であることに加えて、同時に一年後の2019年5月、平成から年号が変わる。”時代の境目”そんなキーワードがよぎり、江戸の終わりを迎え様々な変化を遂げていく士農工商各身分の登場人物の姿を描いた、ドタバタ時代劇。

古典落語「孝行糖」や「死神」をモチーフに、盲目の噺家・風来という男の語りで話が進行していく。その他にも、親不幸を周りに勧める武家のぼんくら息子・娘を奥州に嫁にやった未亡人・役人をクビになった浪人など個性豊かな面々が住む、貧乏長屋が舞台。そこに訪れたのは、時代遅れの仇討ちを志す武家の娘・一如だった―――。

時代が変わっても、人々の中に残される「弱さ」を描いた。


◎幕落ちや花吹雪、回転舞台など演劇の舞台ならではの演出プランを練り、限られた空間で実現できるかスタッフと相談し、検証を重ねた。

◎下手(舞台に向かって左側)に花道のある歌舞伎の舞台構造、寄席のような座布団式の客席設営のため、日本の古典芸能の作法や空間形式を研究した。

【照明プラン・オペレーション】2018.1/18~1/20

主人公の小学校に卒業間際、突然転校してきたのは、35歳の”オジサン”だった。

子どもを「卒業」し、大人になるためには自分の「こども」を捨てなければならないのか?

そんな、子どもと大人の境目を探る物語。


◎夕暮れ=主人公の心情の境目にあたるシーン として象徴的に挿入した。

◎有名劇作家による既製台本のため、脚本の構成を再解釈した光の表現を心がけた。

【照明プラン・オペレーション】2017.10/18~10/20

太宰治原作の「女生徒」を潤色した劇作品。実際、太宰のファンの女生徒が書き記した日記を元に書かれた本作を、様々な名のない少女たちが代弁する形で台詞を発する。

どこか大人びて世間を皮肉っぽく捉えてしまう主人公の、「カラダがどんどん大人の”女”になってしまう悲しさ」「小女性の儚さ」を鋭く表現している。


◎少女の楽観的で心躍る瞬間/ふとしたことがきっかけでふさぎ込んでしまう瞬間 を掴み、その変化を光で表現した。

◎中心につるされた豆電球の光に「お月様」「わずかな希望」という象徴性を持たせたプラン。


「幸福は一夜遅れてくる」

「おやすみなさい。私は、王子様のいないシンデレラ姫。あたし、東京のどこにいるか、ごぞんじですか?もう再びお目にかかりません。」

【主宰/作演出】2017.9/15~9/17

小説家・今野拓海は、生活する実感がふと失われる現象に悩まされていた。遠くから迫る水の音と、突然の浮遊感。初恋の少女に導かれ、”あのカワ”をめぐる思い出と、幻想とが入り混じる。少女は言う、「六年と六ヵ月ぶりだね、今野君。」繰り返す違和感に飲まれ、流されながら、拓海は静かな声を聴く。

思い出せ、私という、”現象”を――――。

震災から6年半の9月に旗揚げした、劇団の旗揚げ公演。確実に風化していく、震災の記憶。初めて「非日常」と接触したあの感覚を、津波に流され、6年半眠りつづける主人公の脳内イメージの世界で表現した。


◎舞台照明をやっていた経験から、「影」を幻想や、ぼんやりとした脳内イメージの表現として用いた。

◎自ら書いた脚本を元に舞台図の素案を書き、各スタッフとディスカッションを重ねた。

◎音響・照明との色やシーンの雰囲気の共有に努めた。




【照明プラン・オペレーション】2017.5/12 ~5/14

舞台に横たわる大きな木。その木の下で巻き起こる、5つのオムニバスストーリー。

何のつながりもないヒトとヒトとの語らい。

”その木”だけは、四季と共にただ何も言わず、彼らを見守っていた―――。


◎枝葉のない舞台美術の木を補い、床に色の光を当てることで、木に花が咲いているのか、紅葉しているのか、裸の状態なのか を表現した。

◎光の揺れによって枝葉の動きを示し、主人公たちの心のざわめきを表現している。

【scene1:春】ハジマリノ、キセツ  

  「私、結婚するんだ。」

【scene2:夏】ジョウキスル、キモチ

「どんだけ一緒にいても、あんたには絶対わかんない劣等感が、あたしにはある。」


【scene3:秋】アカクソマリテ、ナオ

「ここでお別れ。」

【scene4:冬】チリギワノ、セツナ

「添え木を、しよう。」

【scene5:初夏】ソシテ、メグリテ

「この町にお別れしようと思って。」